安売りと同じ土俵に乗らない


ホームページトップにある、私の顔イラスト
プロのイラストレーター群青亜鉛さんに書いていただいたものです。
名刺にもこのイラストが印刷してあります。

ある日、とある会社を訪問した私は、いつもどおり
そのイラストの入った名刺を相手の社長さんにお渡ししました。

すると彼は「これいいですね!」と。
私はすかさず「書いてもらったらどうですか? 4万2千円ですよ」
と宣伝してしまいました。
別に、群青さんに頼まれたわけではないんですが
自分が気に入っているものって、薦めたくなりますものね。

実はここで、相手の「価格に対する基準」が分かるのです。
「え? 似顔絵がそんなにするの?」と、驚く人もいるからです。

まだ30歳くらいのカッコいいその男性社長は
クールに「高くないですね」と、おっしゃいました。

新進気鋭の経営コンサルタントである彼は、似顔絵としてではなく
ロゴやマークと比べて価格を見ているからです。

ランチェスター戦略の育ての親、ランチェスター経営の竹田陽一先生も
このように指導しておられます。

中小企業は名刺に、つまらないマークを印刷するより
社長の似顔絵を載せなさい。

大企業だと一般消費者が社長の顔を知らないのは当たり前でしょう。
しかし、小さな会社で、特に法人相手で総客数の少ないところの場合
社長自身が第一線の営業マンということが多いものです。
お客さんが社長の顔を知らない、ということはまずありません。

名刺交換した人やホームページを見た人に印象付けるには、ロゴやマークより
社長のイラストや写真ということになります。

私の場合、名刺とホームページに同じイラストを載せており
相当インパクトが強いのか、名刺交換した相手から
「あ、このホームページ見たことありますよ!」
といわれたことがあります。

検索かリンクかで、たまたま私のホームページをご覧になったのでしょう。
普通、チラッと見ただけのホームページのイラストなど覚えていることは、まれです。
顔イラストがあるおかげで、印象に残ったのだと思います。

さて、顔イラストの価格の話です。

上述の社長は、これをロゴやマークという視点で見ましたよね。

ロゴなら、デザイン会社に頼むといくらすると思いますか?
試しにグーグルやヤフーで「ロゴデザイン」と検索してください。

3万円以上するのが普通でしょう。
5万円を超えるところも珍しくありません。

ところが、顔イラストは「似顔絵」だという視点で見るとどうでしょう。

ネットでは、写真をメールで送ったら似顔絵にして返してくれる
というサービスが、たったの3〜4千円で、出ています。

たとえばこれ。
オンラインラボ 写真De似顔絵

群青亜鉛さんの顔イラストは「似顔絵」ではありません。
「似せる」のが目的でなくて
「その人がもっているイメージや、こうありたいというイメージを、絵で表現する」
のが目的。

決して「激似」にはなりません。
だって、似せようとしてないんですから。

私の場合も「やさしそうだけど信頼できる、という感じにして」
という難しい要望を最初にした上で
「鼻を黒線で書くと目立つから、茶色線のほうで」などと
何度も修正注文を出してできあがったのです。

プロのカメラマンが、モデルに話しかけながら
いい表情を引き出して、何枚も何枚も撮りますよね。
あんな感じです。

知人にセミプロカメラマンがいるのですが、彼によると
「モデルがプロじゃないから、3〜4枚ぐらいじゃ
表情がこわばったままで、いい写真なんて撮れるわけない」そうです。

群青亜鉛さんの場合も、最初は、プロデューサーの岡田まゆみさんが
クライアント(モデル)にインタビューして、その人の自然な表情を引き出し
その横で彼女が、スケッチをしたり写真を撮ったりします。

それをもとに、1ヶ月ぐらいかけて修正をしながら書き上げるわけです。

こんなに手間がかかり、似顔絵ではありえないインパクトを与えるのですから
安さで買う人を相手にし、3千円の似顔絵と比べさせたら、絶対にダメ。
5万円のロゴと比べさせるべきです。

群青亜鉛さんは、私がイラストを描いていただいた頃には
「似顔絵イラスト」と呼称していました。
でもこれはよくないですね。
みすみす似顔絵と同じ土俵に乗ってしまっています。

ネーミングってとても大事です。その商品のいわば顔。
すべてを物語って、伝えてしまいますから。

なじみがあるからといって、安い商品と似たネーミングにするのは危険です。
手垢がついてなくて、しかも商品のイメージを伝えきる。
そんな名前を考えるのは難しいですが、商売の生命線ですから
逃げないで取り組んでください。

群青亜鉛さんも今は「イメージイラスト」と呼んでいます。

でもそれも弱い。
抽象的で特徴が伝えきれていません。
そこで私は、こういう商品名を提案してみました。

「顔ロゴ」

いかがでしょうか?

でも、少々ダサイのか、採用はされませんでした。
残念。
私は「こりゃいいぞ!」と思ったのですけどね。

群青亜鉛イラスト by ちゃお!!企画