理念経営かどうか、それが問題
過去20年間にガス器具事故で36人(2007年2月20日現在)の犠牲者を出したパロマ。
事故の原因として、「同族経営の弊害」を指摘する声があります。
果たしてそうでしょうか?
非上場、同族経営の優良企業として、有名な例がサントリーです。
パロマとサントリー。
経営はどう違うのだろうか、と思って
両社のHPを調べてみました。
会社概要・案内のページを見てください。
サントリーでは、経営理念が掲載されているだけでなく
ていねいに1文1文、意味を説明しています。
ところが、パロマのほうは、
キャッチフレーズレベルの1行が書いてあるだけです。
安全に対する責任が問題になったわけですが、
その短い文章には
「あんしん」、「責任」とあります。
重要なのは、同族かどうかではなく
経営理念があり、明確化され共有され、
実践されているかなのです。
経営理念は、書いて額に入れ、
飾っておけばいいわけではありません。
書いたことと違うことをしているケースもあるでしょう。
しかし、経営理念を明文化し、社内外に示すと
それに反するような行動を牽制するという効果が生まれます。
社員が、「お客様第一」といって、お客様を裏切る行為をすれば
お客様は二度と買ってくださらないでしょう。
「環境に優しく」といって、公害を撒き散らしたら、
地域の人々が許してくれません。
そして何より、経営理念は、経営者の行動を縛ります。
「言ったとおりやってないじゃないか!」と
社員やお客様に攻撃されてしまうからです。
ライブドア堀江氏や村上ファンド村上氏は
「お金が全て」、「儲けて何が悪い」
と言っていました。
もちろん儲けること自体は悪いことではないし、
営利企業は儲けることが目的。
なぜなら「儲け」という「栄養」がないと企業は死んでしまう。
「ゴーイングコンサーン」(継続企業)という、
企業に課せられた使命を
まっとうすることができないからです。
でも「儲け」は「栄養」と同じく、「取り続ける」ことが必要。
短期的に儲けるという意識の人は、個人投資家になるのはいいけど
「法人」になったらいけない。
人を雇ったり、お客様相手の商売をしたり
株を多くの人にもってもらったりしたらいけない、と思います。
「法人」が「ゴーイングコンサーン」たるために、 絶対に必要なのが「経営理念」です。
理念なき経営を放置するほど、お客様は甘くはないし
給料が高くても理念のない会社では、社員は長続きしません。
理念が明確で、かつ社内で共有されていれば
経営者が変わっても会社の方針は変わらず
常に、どの社員も、同じ態度で仕事に取り組み、お客様に接することができます。
商品やサービスに、ばらつきやぶれがなくなるのです。
複数の人間の集合体である企業が、1つの人格をもつことができ
何代、経営者が代替わりしても生き続けることができるのです。
「理念でメシが食えるか?」という意見もあります。
高尚なことをいったって、営業力がなくてお客様がいなければダメ。
理念があっても、額に飾っているだけで実行が伴わないのであれば、
ないのと同じです。
理念があったら経営がうまくいくわけではありません。
しかし、理念があるということが、
よい会社、よい経営のための前提だと思います。
もちろん、社長がお金を出し、責任を100%負っている
同族会社は
ワンマン経営に転びやすいということも確かです。
多くのステークホルダー(株主、社員、取引先などの関係者)に取り囲まれ
監視されている大企業より、むしろ
同族会社がほとんどを占める中小企業にこそ、
経営理念が必要だと思います。