最初はグー!
弊社では、中小企業経営者を対象とした「経営コーチング」を
メイン事業にしています。
新規顧客開拓の方法としては
ホームページから無料レポートをお申し込みいただき
電話やメールでの相談を受けて信頼と親しみをもっていただくという
web主体のルートと、セミナーを開催して知人やメールマガジン読者
サイト訪問者に参加いただき、特典として経営相談をご提供するという
セミナーを使った方法の、2通りがあります。
また、サブ事業として、中小企業経営者にランチェスター戦略をお教えする
「弱者必勝!小さな会社の経営戦略講座」や、コーチング技法をお教えする
「小さな会社の経営者のコーチング入門講座」を、これまで開催しました。
今からお話しするのは、メイン事業とサブ事業、様相の異なる2事業を
同時並行で展開しようとしたことが原因で失敗したケースです。
教訓として役立ててください。
2006年3月のことです。
経営コーチングの新規顧客獲得を目的として
経営コーチングの概要や活用方法をご紹介するセミナー
を
予定していたのですが中止したのです。
集客が、まったくできなかったからです。
この間、税制改悪反対について、ブログなどに書いたり
そのまとめ記事をメルマガに書いたり、ということに
かなり時間を取られていました。
その上、4月6日から開催する、コーチングの技法をお教えする講座
「小さな会社の経営者のコーチング入門講座」
のサイト作りやチラシ作りを
優先して行なっていました。
そのため、このセミナーについてはサイトは作ったものの
チラシ作りが遅れてしまいました。
また、過去に行なったほぼ同内容のセミナー
「経営に『コーチ』を活かす」では
約100通、1人ずつ直メールで案内を送る
ということをしたのですが
今回はそれを怠り、
メルマガや通信での一斉告知に頼ってしまいました。
手を抜いたわけではないのですが、
他のところに力が行ってしまって
やるべきことをやっていなかったのです。
集客できないのは当たり前です。
弊社は、スタッフが私1人、という超零細企業です。
そんな小さな会社が
、一度に2つのことをやろうとすると
シナジー(相乗効果)というより、力の分散になってしまう
ということを
痛感しました。
シナジー(synergy)とは、「相乗効果」と訳され、シナジ ー効果(synergy effect)として使われることが多い。
シナジー効果とは経営学の言葉で、ある事業とある事業が、 販売や製造などの会社の機能を共有することによって、それ ぞれ単独で事業を行うよりも経営効率が高まることを言う。
例えばカメラメーカーが、半導体を製造する機械を生産する ことがある。それはカメラを作るのに必要な光学の知識や塵 などがない生産設備などが、半導体製造機械を作るのに応用 しやすく開発コストなどを削減できる。よって、この2つの 事業にはシナジー効果があるといえる。 (All About 用語集)
用語の定義だけしているweb辞書が多い中
、All Aboutでは
例まで出して説明してくれています。
この「カメラメーカーが、半導体を製造する機械を生産する」例は
シナジーの成功が極めて困難であることを説明するのにも
実は、もってこいなのです。
これを読んで、勘のよい皆さんは
「そんなこと、よほどの大企業でないとムリだろう?」
と、思われたことでしょう。
ご名答。
核となる技術(光学の知識)や生産設備は
、カメラと半導体製造機械で
共用できます。
でも、工程や、個々の作業に要求される技能、人の配置
など
生産に関わる他の要素は、異なるのではないでしょうか。
それと、なんといっても 、カメラと半導体製造機械では、客層が異なります。
カメラは、カメラのショップや量販店。
半導体製造機械は、半導体メーカー。
となると営業員に必要な知識も当然、異なります。
カメラは、カメラの知識のほかに、
お店にうまくカメラを売ってもらうための支援
「リテールサポート」が求められるでしょう。
経営やマーケティングの勉強も要りますね。
半導体製造機械の場合、「リテールサポート」は、
重要ではありません。
それより半導体の製造技術について
、高度な知識が要るのではないでしょうか。
核技術や生産設備が同じだからといって
様相の異なる事業に安易に手を出すと
、コストメリットどころか
経営資源を倍近く消費する割には利益は少し増えるだけ
という
効率の悪い結果になりかねません。
なぜかというと
、カメラだけ、半導体製造機械だけに
全ての経営資源を集中し、必死で売っている会社と競争すると
どちらの事業でも業界1位になれないために、儲からないわけです。
シナジー追求に「青信号」が出るのは、やはり
圧勝でナンバーワンの企業だけといっていいでしょう。
ランチェスター経営の竹田先生の理論では
同じ客層に、同じ商品を売るエネルギーが、1とすると
同じ客層に、違う商品を売るエネルギーは、0.7
違う客層に、同じ商品を売るエネルギーは、0.3
違う客層に、違う商品を売るエネルギーは、0.1
となります。
今回の場合、同じ客層に、2つの異なる商品を売るわけで
同じ客層に、1つの商品を売るよりも、1/0.7倍≒1.4倍難しい
ということです。
1.4倍。
違う客層に、違う商品を売るのに比べると、はるかに易しいとはいっても
1.4倍の経営資源を消費してしまうとしたら、小さな会社をつぶすには
それで充分です。
私が、コーチングのお客様に「小さな会社の経営戦略講座」
受講を
お勧めしたところ、第3期は受講者7人中6人が
コーチングのお客様になった
という結果が出ました。
この場合は、同じ客層に対して
すでにご購入いただいている(契約いただいている)商品(コーチング)が
あるところに、
新商品(経営戦略講座)をおすすめしたわけで
一度に2つの商品(経営コーチング紹介セミナーとコーチング講座)を
売ろうとしたわけではありません。
同じく竹田先生の理論で「グー、チョキ、パー、チョキ」というのがあります。
最初は「グー」で1つの商品に全力を込め、それがうまくいったら「チョキ」で
商品を2つにする。
そして「パー」つまり5つぐらいまで商品が増えたら
そろそろ利益に貢献していない商品が現れるので「チョキ」っと切る
ということです。
「最初はグー」です。
最初にチョキを出したら負けるんです。
しかし、今回は、客層は同じとはいえ、
最初から2つの
様相の異なる商品を売ろうとしました。
大きくいうと客層は同じですが、ニーズが違ったのです。
1つはコーチングを受けるかどうか検討する経営者
もう1つは、コーチングの技法を習いたい経営者です。
両方のニーズをもっている方もいますが、通常
どちらかだけという方が多いのです。
「最初にチョキ」をやってしまったんです。
「最初はグー」は、商品だけでなく
、客層、営業地域、さらに営業段階にも
あてはまります。
営業段階とは、見込み客づくりから固定客、ファン化までの
それぞれの段階で
それらを同時並行でやるかどうか、です。
つまり、新規顧客獲得とあわせて、顧客維持もなどという
ムシのいいことを考えると失敗することが多い、ということです。
起業したばかりでお客さんのいない会社は、まず
新規顧客獲得に注力しないといけません。
逆に、顧客リストつまり過去のお客さんの蓄積がある、
ある程度歴史のある会社は
顧客維持対策を優先すべきです。
それをやらずに新規獲得に走ることは
まるで、お風呂の栓を抜いたままで
お湯を注ぎ続ける
ようなムダです。
二兎を追うものは…といいますよね。
小さな会社にとって
、シナジーは「立ち入り禁止」の赤信号
とまでは
言い切りませんが、
要注意、つまり黄色信号なのです。
大手企業向きの経営戦略理論をかじって
、安易にシナジーを追求することは
絶対に避けるべきです。
最初はグー!
チョキはダメですよ!