会社の「ウリ」を見つける3つの視点
先日、ある知人からメールが来ました。
ある資格を取得したが、ずっと専業主婦だったのがネックなのか
年齢のせいか、なかなか就職が決まらない。
それならと、もう1つ資格を取るつもりだ、というのです。
幸いパートですが、仕事が決まったというので、 私はこのようなメールを送りました。
「お仕事決まって、よかったですね。
勝手にアドバイスしますが、日本は資格社会ではありません。
それより、実績と人間性です。
実績は、日々の仕事の1つ1つを、言われたことだけするのではなく
それ以上のことを達成していくことです。
私は、診断士の資格をもっていますが、
前職のコンサルに採用されたのは
資格ではなく、
その前の会社で、業務改善をして実績を上げたことを
アピールしたのが、最終的な決め手になりました。
新しい職場で、実績を上げることが先決だと思います。
もう1つの人間性というのは、熱意、意欲と価値観です。
これが誰よりも勝っていれば、能力や実績で多少見劣りしても
引き上げてくださる方が必ずいます。
人間性重視、情に厚い人というのは、どこにいっても必ずいますから。」
「能力」、「実績」、「熱意」。
この3つともを見て、ウリを明確にすることが大事だと
私はいいたかったのです。
企業でも同様の切り口から、ウリを分析することができます。
「貢献実績」、「価値観」、「保有資源」の3つです。
たとえば3つのうちの1つ、貢献実績を例に取って説明しましょう。
「貢献実績」がなぜ「ウリ」になるのかというと、それが、見込み客から見て
「貢献予想」、「貢献期待」を抱く要因になるからです。
「この会社なら、このぐらいのことをやってくれそう」と、過去の実績や信用から
できばえや成果、満足度の予想、期待をするわけです。
「実績」として、大手の取引先名をずらっと並べているのをよく見かけます。
でもこれでは、お客様は、自分や自社に対して、具体的に
どういった貢献をしてもらえそうかという予想ができません。
「大手と取引しているから信用できる会社なんだろう」
と思うだけです。
それも必要ですが、それだけでは、貢献予想、貢献期待には、まだ弱い。
ではもっといい何かがあるのか…。
もちろんあります。
まず、取引先名ではなく、具体的な商品名や仕事内容。
それを、専門用語を使わず、お客様が分かる言葉で説明します。
そのとき、私のいう「信用言葉」を使うと効果的です。
(「信用言葉」については、項を改めてお話しします。)
そして、「お客様の声」。
これは、「貢献実績」を伝えるための最強のメッセージといえるでしょう。
なぜなら、あなたやあなたの会社の社員が、いくら「この商品はいいですよ」
「ウチは信頼できる会社ですよ」といっても、自慢のように聞こえて
なかなか信用してもらえませんが、既存のお客様という第三者がいうと
ウソだと思われないからです。
次に「価値観」です。
企業の不祥事が相次いでいる昨今、お客様は、あなたの会社の商品・サービスの
「スペック」(機能、性能、品質)だけではなく、地球環境への負荷や
社会貢献意識、経営者の姿勢といったものを、考慮に入れるどころか重視し
購買の決め手にするまでに、なっています。
「スペック」とは、3つめの切り口である「保有資源」に当たります。
会社の商品・サービスの品質や、人材の資格・技術・能力
店舗・設備・機械の性能やレベルなどです。
もちろんあなたの会社の商品・サービスのスペックが、他社を寄せ付けないほど
素晴らしく、決してマネされないなら、それだけを「ウリ」にしてもいいでしょう。
でも、そうじゃないなら、そして、「価値観」を明確に打ち出すことが
少しでも経営をよくするのに役立つなら、やらない手はありませんよね!
「価値観」は、お客様に対してだけではなく、社員を採用するときにも
大事になってきています。
今や大学の就職指導の際、「会社の経営理念を確認するように」と
学生たちは教わっているということを、あなたはご存じでしたか?
これももちろん、あなたの会社の、学生たちからみた「スペック」つまり
給料や労働条件、会社の知名度やイメージが、大手企業並みに素晴らしいなら
それだけで優秀な人材をいくらでも採用できるでしょう。
でも、そうじゃないなら、そして「価値観」を明確に打ち出すことが
少しでもいい人材を採用するのに役立つなら、やらない手はありませんよね!
「経営理念」とは、経営者のアタマの中にある価値観を明文化したものです。
そんなものは経営が安定してからでよい、といわれる方もいます。
しかし。
人が何人も入ってきてから理念を作ったのでは、遅いということはいえませんか?
「なんでもええから仕事手伝ってくれる人」と思えば、そういう人しか来ません。
「月給いくら、待遇はこんな感じ。給料分働け」と思えば
給料分以下しか絶対に働く気のない人しか来ません。
「こういう能力のある人、こういう仕事ができる人。人間性はどうでもいい」と思えば
自分の能力を伸ばすことだけに関心が向いていて
お客さんのほうを向いて仕事をしない人しか来ません。
経営者の考え方がそうだから、そういう人しか来ないんです。
だとすれば、経営が安定する前に、経営者の考え、つまり理念を
明文化しておくということは、無駄でも余計でもなく、必要不可欠なことなのです。