オマケやプレゼントは、商品特性を考えて


グリコのオマケの時代から、商品に「オマケ」をつけて買ってもらおう
というマーケティング手法があります。

でもオマケが氾濫しすぎて、ありきたりのものでは売りが伸びない
という状況になってきています。
ペットボトル飲料にぷらさがっている小さなフィギュア(人形)などは
販売店のほうが「いらない」と断るケースすら出てきているそうです。

そんな中、これは!と思う「オマケ」がありました。

アート引越センターの「ドラえもん冷温庫」

これのミソは、同社で

  1. 見積もりをして基本料金4万円以上の引越を制約した人
  2. 毎月先着5000名がもれなく
  3. オリジナルのドラえもん冷温庫をもらえる

というところ。

(2006年12月26日から2007年3月22日までは、 「ドラミちゃん冷温庫」となっており、期間中抽選で10,000名に当たることになりました。もらえる人数が減った上、抽選になってしまいました。)

よく、新聞やテレビ、ホームページなどで、買わなくても、応募したら抽選で当たる
というキャンペーンをしています。

この場合は、見込み客リストを集めるのが目的。
「個人情報保護法」によって、見込み客データを集めることが難しくなったので
プレゼントという「エサ」と引き替えにする必要があるわけです。

でもこれは、実際の商品購買に結びつくように注意して
プレゼント品の選定やキャンペーンのしくみを作らないと
商品を買う気はまったくない「懸賞マニア」ばかり集まるということになりかねません。

ドラえもん冷温庫の場合、見込み客集めが目的ではなく、ズバリ
引越という商品を売ることが目的。
他社では、見積もりをすれば何かもらえるというキャンペーンもありますが
ドラえもん冷温庫は見積もりをしただけではダメで、制約しなければもらえません。

もしも、見積もりだけでもらえるとしたら、抽選であるにしても
他社に引越を依頼するつもりなのに、あるいは引越なんてする予定もないのに
プレゼント欲しさに、見積もりを頼んでくる人がいるかもしれません。

そのかわり制約すれば、抽選ではなく、毎月先着順で、もらえる。
お客としては、月初に契約すればいいだけの話。
そうすれば必ずもらえます。
つまり引越という商品に、ドラえもん冷温庫というオマケがぶらさがっているのと
同じなのです。
これは、抽選で当たる場合に比べて、購買の誘因力が高い。

最後の「オリジナル」が、最大のポイントです。
つまりこれは非売品で、いくら払っても市場では手に入らない。
(もらっておいてオークションサイトで売る人がいるかもしれませんね)

それが、「値引き」以上の価値を生み、子どものために
または自分がドラえもんファンだから、他社より高いとしても
アートに引越を頼みたい、と思わせる効果をもたらすのです。

実際、この冷温庫は、小型でシンプルな機能で、しかも中国製。
原価は、1万円もしないのではないでしょうか?

ならば、冷温庫の原価と同額の値引きをすればいいじゃないか
と思った方もいるかもしれません。

しかし、値引きではダメです。
価格競争に巻き込まれてしまう。

ご存じの通り、アートは、安さを売りにはしていません。
値引きしたところで、他社並みになるだけ。

では、市販されている、同額のドラえもんグッズをオマケにすれば?

それもダメです。

引越をしないと手に入らない、という希少価値がありません。
それだけ、購買への誘因力も下がってしまいます。

ですから、絶対にアートは、この冷温庫を市販するようなことはしないと思います。
本業である引越の購買誘因力を下げてまで、家電事業に進出して
小金稼いでどうするんですか。

じゃあ、ウチの会社も、本業の商品を売るために
オリジナルのオマケをつければいいんだな?

あー、それはちょっと待ってください。

本業の商品の「特性」を考えなければいけませんよ。

特性って?

商品に形があるのか、ないのか。
大量生産型なのか、少量受注型なのか。
単価は高額か低額か。
お客様は個人か法人か。
個人なら年齢や性別は。
法人なら大手か中小か。
購買は継続的か単発か。
単発なら、リピートの間隔は。
などなど、です。

もちろんその前に本業は何か、見極めて、軸がぶれないようにするのが
先ですけどね。

引越という商品は、形がないので、買う前に手にとって…という訳にはいきません。
いきおい、見積もり価格だけの勝負になりやすい。

値下げするとしても、形がないから、大量に作ってコストダウンすることは不可能。 人件費やガソリン代、梱包材料費などを削るしかない。

法人需要もありますが、個人相手の引越会社が多い。
(中小は逆に、法人がねらい目では?)

法人ならコストメリット優先ですが、個人の場合、好き・楽しい・きれいという感情が
購買を左右します。
だから価格でない要素「かわいい」ドラえもん冷温庫もらえます、で勝負できる。

単価は数万円と、個人にしては比較的高額であり、リピート間隔は数年レベル。
リピートを喚起することはそんなに考えなくていい分、1回めの受注に
マーケティングの手間とコストのほとんどを、注ぐことができます。

そして会社はというと、「ドラえもん」というブランド力のあるキャラクターを使った
オリジナル商品を作れるぐらいの資金力をもっています。

あなたの会社の商品は、これと同じ特性を持っていますか?
もっていたとしても、お客様からみて魅力のあるオリジナルオマケを
作れるほどの資金力がありますか?

「ドラえもん冷温庫」は、戦略の練習問題にはなりますが、小さな会社が
そのままマネしては、いけませんね。